一人暮らしをしてた時、夜中にベランダへ不法侵入された恐怖体験。
衝撃的な結末だったので、ぜひ最後まで読んで欲しい。
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大阪のマンションで一人暮らしをしていた2年前。
仕事柄、朝方に帰ったり、帰っても深夜2時頃まで仕事をしてることが多かったが、
その日は珍しく12時には電気を消してベッドに入った。
寝付けないまま、ベッドでダラダラとスマホを見ていた。
深夜1時をまわったくらいだろうか。
ふとベランダに気配を感じた。
人がいる。
いや、まさか。
そんなわけないか。
自分に言い聞かせてみたが、
マンション前の高速道路を走る車のヘッドライトが窓を照らすと、ロールカーテンにはっきりと人影が映った。
間違いなく、誰かがいる。
身体が固まった。
だれ?なんで???
ここは703号室。つまり7階。
下から登ろうと思ってもかなりの高さがある。マンションにはオートロックがついているのでセキュリティはしっかりしてるはず。
どこから来たの? なんのために?
怖い。
とにかく逃げないと。
今すぐ逃げたいけど、それは出来ない。
恐怖で足がすくんで…とかじゃなく。物理的に。
と言うのも…えーっと。
そのー、うんー…実はパンツ1枚だったのだ。
いや、変な意味じゃなくてね!
ちょっと恥ずかしいんだけど、家ではパンイチスタイルで生活してる系アラサーなのよ私。
パンイチで逃げるなんてできないし、服を着るために物音を立てて、ベランダの人、ベランダ人に気づかれるのも怖い。
とにかく、この状況を誰かに知らせないと。
近所に住んでいる仲のいい先輩にLINEを送る。
「ベランダに人がいるっぽいです」
するとすぐに返信。
「どいうこと?」
私が返信を打つ前に電話がかかってきた
「何?どいうこと?大丈夫?」
大きな声で話すと、ベランダ人が私が起きていることに気づいてしまう。
バレたら中に入って来て何をされるかわからない。私はできるだけ小さな声で、中森明菜のモノマネをする友近ぐらい小さな声で話した。
私(友近)「やばい…誰か居て…大きい声出せないです…」
先輩「わかった。電話は切らずにこのままで。あと、今すぐ住所送って。」
先輩の声に少し安心したが、まだベランダ人の気配はする。
ベランダの左側で、何かしている。
屈んでこちらを覗いているのかもしれない。
ロールカーテンはいつも下10cmくらい開けていることが多い。
今日は下までちゃんと閉めただろうか…。
怖さで呼吸が荒くなる。
とにかく音を立てないように、ベットの上で硬直したままだった。
15分くらいしてから、ベランダ人の気配が右側に消えていった気がした。
先輩との電話を切り、急いで警察に通報した。
10分もしないうちに警察官が駆けつけてくれた。
(ご安心してください、服は着ました。)
深夜帯の女性宅への不法侵入の疑い、とのことで、四人も来てくれた。
どれだけ心強かったことか。
安堵からか、思わず涙が出た。
事情を説明すると、警察官は無線で刑事さんを呼び、すぐにベランダの現場検証を開始した。
ほどなくして私服姿の刑事さんも到着した。
思ったよりも若い。と言うか、デスノートのLみたい。
これはどっちや?
私服だからたまたまLっぽく見えるのか、Lに憧れてるから刑事さん自ら寄せにいったのか、どっちや?
私に軽く挨拶をすると、刑事さんはすぐにベランダへ行った。
写真を撮ったり、粉をパタパタして指紋を採取したり。テレビで見たことあるあれが、今、我が家で行われている。
うわーこれホンマにするんやぁー、と呑気な感想がこぼれるくらいには、私は落ち着きを取り戻していた。
すると突然、刑事さんが勢いよく部屋に戻って来た。
「隣人ですね」
確信を持った目でそう言った。Lだ。
どうやら、ベランダで現場検証しているときに右側(702号室)の隣人がベランダ越しに覗いてきて目が合ったらしい。
普通、深夜2時に隣の家に警察官がいたら「何かあったんですか?」といった質問があるのが人の心理だが、隣人はすぐに部屋に隠れたのだという。
「今から、確認してきます。部屋にも警官を残していきますのでご安心ください」
なんとも頼もしい。Lだ。刑事さんが数人の警察を連れて隣人の家に向かった。
その間、部屋では引き続き現場検証が行われている。
702号室側のベランダの仕切り板には、びっしりと手形が残っていた。
Lが戻ってくる。
「隣人が不法侵入を認めました。
703号室(私)がうるさかったので文句を言うために侵入したとか無茶苦茶な事言ってるので、詳しい話は署で取り調べを行います」
隣人がベランダ人だったなんて…。
私も被害届を出すため、時間差で警察署に向かった。
警察署に着いたのは深夜3時。
小さな部屋で、被害届を作るために帰宅してからの行動について細かく報告してゆく。
すると、ベランダ人の取り調べをしていた刑事さんに確認して欲しいから、と呼ばれた。
マジックミラー越しにベランダ人の顔を確認する。
「彼と面識はありますか?」
全くなかった。
というかその若さにびっくりした。すごく若い。
聞くと、20代前半だそうだ。
どこにでもいそうな、オシャレなイマドキの男の子だった。
部屋に戻り、被害届の続きを作成するが、自分でも動揺しているのがわかる。
あの人が私のベランダに居たんだ…。現実味が増して気持ちが悪かった。
我が家のベランダに置かれた室外機が凹んでいることから、それを足場として日常的に侵入していた可能性がある、とも告げられた。
私は正直に話した。
「実は…私、家ではパンイチなんです、だから、覗かれてたらちょっと怖いですね…」
「そうですか…。でも大丈夫ですよ!もう僕たちが捕まえたので!」
泣きそうな私を元気付けるためだろう、警察官募集のポスターから飛び出てきました?ってくらい素敵な笑顔でそう言ってくれた。
1時間ほどして、犯人側の取り調べをしていた刑事さんが部屋に入ってきた。
ベテランの刑事さんだ。
「犯人が自供しました。」
「えー、除き目的での侵入です」
やっぱり覗かれていたのか…。
いつから?どこまで?
パンイチ姿を見られていたってことだよね?
覗き目的ならば、一つ確認しないといけないことがあった。
正直、答えを聞くのが怖い。でも確認しなくては。
「犯人は…誰でもよかったけど、たまたま私だったんですか?
それとも、私に何か特別な感情があって覗いてたんでしょうか?」
ストーカーだったら怖すぎる。どうか、どうか前者であってくれ・・・
すると刑事さんが言いづらそうに口を開いた。
「犯人は・・・」
「ユキ子さんじゃなくて、その隣の家を覗きたかったようです」
え?
え?
「704号室を覗くために、ユキ子さんの家のベランダに侵入したそうです」
どうやら、犯人が覗きたかったのは私ではなく、さらに隣の704号室(カップル)らしい。
そんなことある?
覗き目的で侵入されて、覗かれてないなんてことある?
我が家のベランダは歩道ってこと?
正直さっきまで「か弱い女性」のごとく振る舞っていた自分が一気に恥ずかしくなる。
「へ、へぇ〜。いやぁ〜よかったっすわー私じゃないなら!カップルの覗きたいって、あれっすね、ホントどうしようもない奴っすねぇ!!」
なんかもう、おっさんのようなリアクションをするしかなった。
「家ではパンイチなんです、だから、覗かれてたらちょっと怖いですね…」
…やあらへんがな。パンイチ関係ないねん、覗かれてないねんから。
無駄な自己申告をしてしまった。
こうして、覗き被害を受けていない私による被害届の作成が終わったのは朝方7時。
もうすっかり朝だった。今日はやけに朝日が沁みる。
「疲れているでしょうから」と、車で家まで送ってもらった。
なんだか本当に疲れた1日だった。
あれからパンイチで寝るのはやめた。
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