20代半ばの頃。
今でこそ市民権を得たマッチングアプリだけど、当時はまだおおっぴらにマッチングアプリやってるよ!とは言えない…でも実はやってる人増えてきてるらしい…え、あたしもやってみようかな?みたいな、そんな雰囲気だった頃のこと。
大人しめな友人(♀)と久しぶりに会ったら、マッチングアプリで彼氏が出来たとのこと。
なんと!この子がアプリ使ってただなんて!
これはやるしかない!と思い、
もとい、「この子がやってるくらいなら、私がやっててもガッついてると思われないやろ」そう思って、すぐにアプリをダウンロードした。
教えてもらったのは、業界大手の「Pairs(ペアーズ)」。
Facebookの友達は表示されないらしい。ありがたい。
累計会員数800万人、15万人以上に恋人ができた実績があるらしい。私も15万分の1になりたいです。
まずはプロフィールの設定。
もしも知人に見つかったら恥じらい死してしまうので、
そこまで出会い求めてませんよ〜、ガッついてませんよ〜感を出したいところ。
考えた。
“笑うこと、働くこと、食べることが大好きです”
これはいいんじゃなーい?
ガッついてる感じもないし、食べることが大好き、の部分に私がぽっちゃりってことの含みも効いてていいんじゃなーい?
残りのプロフィール欄を適当に埋めて、8割増しのプロフ写真を設定。
これで準備は整った。
運命の人に会うまでのマラソン、スタートです!!!!
始めてみると、これがなかなか面白い。
まるで物件を探すかのように、好みの異性を探すことができる。
「最寄駅、家賃、間取り、風呂トイレ別、オートロックetc.」
物件サイトでこだわりの項目にチェックを入れていくように、
「年齢、移住地、身長、お酒、タバコ、年収、結婚に対する意思、子どもの有無etc.」
Pairs(ペアーズ)でもチェックを入れていく。
私のおこだわりは以下の通り。
身長180cm〜
以上。これだけ。
とにかく背の高い男性が異様に好きなの。
「身長 180cm〜」この1点だけにチェックを入れ、検索。
出てくる出てくる。スクロールをスイスイしてもどんどん出てくる180cm〜たち。
何これ楽しい。
いつでも探しているよ。どっかにイケメンの姿を。向かいのホーム、路地裏の窓、そんな場所に…いるのだ。
アプリ内には居る。そして、どこにいたっていつだってイケメンを探せるのだ。
いつでも探してる山崎まさよしにも教えてあげたい。見つかるかもよ?
ポケットに出会いの無限バンクを手に入れた私は、近畿全域の180cm〜を見たんじゃない?ってくらい、しらみつぶしに探した。
そして突然、
好みど真ん中の男性と出会ってしまった。
顔もイケメン、服もおしゃれ、仕事は新幹線の運転手。(以下、新幹線)
一番大事な身長はなんと、
193cm!!!
ちょとぉ〜〜〜〜!
規定ラインを13cmも超えてくるってどんだけ〜〜〜!
そんなおっきな身体で新幹線の運転席は狭すぎ〜〜〜!
もう速攻でいいねしたよね。
そしたら1時間後、なんと、新幹線もいいねしれくれたの!よろこび〜〜〜〜!
Pairs(ペアーズ)では、いいねしあった二人はカップル成立ということで、メッセージができるようになる。
イケメン193cmとメッセージ。
カラカラだった日常に潤いがすごいんだけど!!化粧水なんかより潤う!究極潤!美は体内から作られる、ってこういうことだったの?
テンポよくやり取りを続け3日目、ついに「今度飲みにいこうよ」とお誘いをいただいちゃった。
ねぇ待って、冷静になって。
とんでもない奇跡だよこれ?
だって考えてみてよ。
もし私が合コンで新幹線と出会ったのだとしたら…?
時代錯誤とは重々承知の上て、あえて言おう。
恋愛には“ビジュアル均衡法”という残酷な法則がある。
<ビジュアル均衡法とは>
人のビジュアルを1から10までに数値化し、同等、もしくは自分の数値の上下1〜2点のビジュアルの人となら恋が成就しやすいという自然の摂理。
(4点の人は3〜5点の人。9点の人には8〜10点の人)
内面重視派とかお金持ちとか幼馴染とか、もちろん例外も沢山ある。あるけども。
このビジュアル均衡法こそが、私が失恋を繰り返してきた原因でもある。
だって、私(4点)は高身長しかもイケメン(最低8点以上)が好きなんだもの。
もしも、この出会いが合コンだったら、8点の新幹線は4点の私なんて相手にしていない。
きっと私は見向きもしてもらえず、敏腕MCのようにその場をぶいぶい回し、ほど良いツッコミで和ませ、自らもボケて、…「今日もいっぱい笑せたでぇ!」と悲しい満足を抱え、恋は生まれないまま家に帰っただろう。
その状態から2人で飲みに行くなんてことはかなり厳しい。
だがマッチングアプリによって、4点の私でも8点と新幹線と2人で飲みに行けるわけ。
お金もないし、幼馴染でなくても、マッチングアプリなら番狂わせができるのだ。
兎にも角にも、マッチングアプリで初めて男性と会うことになった。
この新幹線との出会いが、私の恋愛観を狂わせてゆく…
次回「縮まる距離!暴れる性欲!」
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