前回までの話
マッチングアプリで初めてイケメン高身長の新幹線の運転(以外、新幹線)と会い、その日のうちに…。割り切ってたつもりが、好きになってしまって・・・ (前回までの詳しい話はこちら→1話「番狂せろ」、2話「怖い性欲」、3話「割り切った関係?」
まんまと恋に落ちた私。
新幹線は玄関で、また来るね、と私にハグをして帰って行った。
でも具体的な次の約束は口にしなかった。
それが答えよな…と思いつつ、
希望を探すためネットで「付き合う前 しちゃった 挽回」と検索したが
「しないほうがいいよ!」と当たり前の回答ばっかり。全く役に立たない。
しないほうが良い事くらい知っとるわい。
こっちはただヤッただけちゃうねん、テレフォン•マグワイヤーまでしてもーてんねん。
もっと事態は深刻なのだ。特効薬はどこ!?!?!
最初こそ、新幹線から「楽しかった!ありがとう」と当たり障りないLINEがきたものの、ラリーをするごとに文章はどんどん短くなり、既読スルーされることも増えた。
もうね、ここからは「苦しさ」と「でも好き…」のミルフィーユ。
こっちからLINE送らない、とか。返事はすぐしない、とか。
そんな小手先の駆け引きなんてバレバレだし、好きって気持ちは絶対に文章から滲み出てしまう。
どう足掻いたって、恋のパワーバランスを崩す事ができない。
似たような状況になった女性達、思い出してみて?あの時の迷走っぷりを。
それが今の私!!
逆に追われた男性達、“都合のいい女”としてぞんざいに扱った女性がいたでしょう。
それが今の私!!!!
惚れたら負けってこーゆーことかぁと痛感しつつ、まだ私は諦めてなかった。
下町ロケットの阿部寛くらい諦めてない。絶対にバルブシステムを完成させてみせる!
阿部寛は諦めずに信じ続けて、起死回生の糸口を手繰り寄せたんだもの!
せめてもう一回会えたら…私も糸口を見つけられるかもしれない…!!
阿部さん、あんたが佃製作所を救ったように、私も恋のバルブシステムを完成させて私自身を救ってみせる!!!
きっかけさえあれば…と願いながらチャンスを待った。
それは突然訪れた。
ある夜、新幹線からLINEが届く。
「何してんの?」
飛び跳ねるほど嬉しかった。
5分置いて返信。
今から会えるかも?と期待し、その間に急いで化粧を直す。
「ムラムラしてる笑」
え?
「触ってんねん笑」
ええ?
戸惑いと温度差を感じるが新幹線はお構いなし。
際どい質問をされ、その内容は過激になっていく。
どうやら新幹線は
メッセージだけでまぐわいたいらしい。
官能的なメッセージで疑似まぐわいする事を、イメージプレイ…
通称「イメプ」というらしい
…いや、知らない知らない!
ユキ子の知らない世界!
これ何番目にある性の扉?
家から出ず、お金もかけず、LINEですら前置き無し。なんと省エネな性欲の満たし方なのだろうか…。
その省エネっぷりに悲しくなる…。
いや待てよ…!!!
もしかしたら…
「こんな性癖合う人他にはおらへん!」って頭おかしいポイントで振り向いてくれるチャンスなのかも…!?
これが阿部寛も掴んだという糸口なのかも!?
イメプが恋のバルブシステムになるのかも!?!?!?
このチャンス逃してなるものか、とイメプに乗ることに決めた。
しかし、お作法がわからない…!
焦る私をよそに、新幹線から意味不でイメプな返信。
こうなったら実践で学んでくスタイルで応戦するしかない!!!
急いでネット検索する。
イメプ例文を調べ、
使えそうな文章をコピペ→新幹線用にアレンジ→返信。
その手際の良さたるや。まるでベテラン銀行員の札さばきのよう。
調べてわかったことは、性ってほんと文学。
文章だけなのに躍動感もネッとりとした肌感も伝わってくる。
皆さんも是非調べて見て欲しい。「イメプ」って。調べて、絶対検索履歴に「イメプ」って残して欲しい。
イメプの雰囲気がわかる例文を載せるが、そのままの文章はあまりに卑猥なので(当ブログが目指すは上品エロ)
ステーキを焼きながら説明しよう。
バァンッ!ステーキを乱暴にフライパンに乗せる やだ。。。ジワジワって…油がっ…/// そろそろひっくり返してやろうか? ダメ、まだしっかり焼き目ついてないっ/// 嫌がるステーキを無理やりひっくり返す ジュっ…ジュュュゥ!! 油が溢れ、美味しそうな音が響く
こんな感じだ。
ト書きとセリフで構成されている。
///←これは照れを表しているらしい。
うん。皆さんの気持ちはわかる。
なんやこれ。
私も返信しながら思ってた。
(今もこれを書きながら時を超え、改めて思ってる。)
盛り上がる新幹線には申し訳ないけど、こっちはめちゃくちゃ冷静。
もちろんエロい気持ちは置いてけぼり。
ただただ、サービス精神が私を突き動かしている。
先を急ぐ新幹線から「見たい?」とLINE。
続けざまに写真が届く。
元気なイチモツの写真が。
「どう?」
えぇ…。どう?と聞かれましても…
さらに、追LINEが届く
「ユキ子もおっぱいの写真送って」
「も」ってなんだろう?勝手に送っておきながら。
まず、女性を代表して言わせていただきたい。
イチモツ写真とおっぱい写真の価値は同等じゃない。
興奮という尺度で考えた時に、おっぱい写真ほどイチモツ写真の価値は高くない。
俺も見せたんだからお前も見せて!というのは、「なぁなぁ、弁当の胡瓜の和え物あげるから唐揚げと交換してやぁ」くらい、全くフェアトレードじゃないのだ。
私たちがドキっとするのは、例えば服の上からでもわかる大きな背中とか、血管の浮き出た手とか、割れた腹筋とか…想像力が掻き立てられるパーツな訳で。
高級フレンチで、ちっこいお肉の割にお皿がアホみたいに大きいのは、余白があれぼあるほど美味しく感じられるから。
余白こそ甘美。
想像する余白をくれ。
あと、単純に見た目がグロテスクすぎる。
直視するのは暗闇でやっと。蛍光灯の明るみの下で撮られた写真なんて論外なのである。
あまりの衝撃に返信に困っていると、さらに2枚の写真が届いた。
イチモツの角度違いと、
寄り。
「どう?」
どう?やあらせんがな。
この瞬間悟った。終わったんだなぁって。
完膚なきまでに終わった。
イチモツの写真て。
こんなの送られた時点で試合終了ですよ?って話。
阿部寛だって、諦めないで有名な桜木花道だって即諦めるわ。安西先生も「ちょっw ムリムリ諦めなさいっ!!」て止めに入るレベル。
スーッと冷めた私は
「わぁ、のぞみ みたいだね」と新幹線な返事をしてLINEを閉じた。
こうして、マッチングアプリで初めて出会った高身長イケメンとの恋は終わった。
好きな人にイチモツの写真を送りつけられるという世界一悲しい終わり方で。
思ったことは、
ほんとマッチングアプリは怖い…
と、思うのは大間違い!ということ。
新幹線を悪者にするのも筋違い。
テレフォン•マグワイヤーから始まり、
初日に家に招き入れ、
自分から「適当に扱ってください〜」と言っていたようなものなのに、愛されたいと願ってしまった私に大いに問題があったのだ。
怖いのは自分の欲深さだった。
とはいえ、やっぱり少し傷ついたのも事実。
忘れるために仕事に邁進するのもいいけど、マッチングアプリで負った傷はマッチングアプリでしか癒せない!!
前向きになった私は、またマッチングアプリの「180cm〜」にチェックを入れた。
(この後すぐにマッチングアプリで彼氏ができることを、この時誰が想像できただろうか…)
〜マッチングアプリ/新幹線編 完〜
次回のマッチングアプリシリーズは
「壁ドン男!あなたは約束もシーツも破るのね…」をお送りします。
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